1996年に亡くなった星野道夫さん、一流の動物写真家であり、またアラスカを中心とした大自然への向かい方について数多くの随筆を残している。そんな彼の幸福感を追体験できる内容となっている。
22歳でアラスカに渡り、現地の気候や大自然の洗礼を受けながらもやがて逞しくその感性を磨いていく。現地のエスキモーやネイティブ・アメリカンとの交流を通して、数千年の悠久の時を経て築かれてきた人と野生の関係性を美しく切り取っていく。
我々が彼の写真や言葉に惹かれるのは、根源的欲求として持つ自然への畏敬の念と、そこから隔絶してしまった都市生活の距離を、これら著作によって埋めることができるからだろう。それは現代社会の満ち足りない世界への窓であり、彼の死はつくづく惜しまれる。
しかし掲題となっている「旅をする木」にも記されている通り、彼の身体は物質的には他の生物の糧となり地球上を廻り、また彼の想いは多くの人々の心に末長く種を植え続けている。
![[書評]旅をする木](https://image.osiro.it/pass/main_images/536095/images/original/91gm3FRrJEL._SL1500_.jpg?1765075553)

2025/12/07 11:45
