日本企業研究の第一人者Ulrike Schaede教授が語ったのは、日本はもっとシリコンバレーのようになるべきという話ではありませんでした。むしろスローペースは日本社会に適しているということが分かり、すこし安心しました。

UC San Diego School of Global Policy and Strategy (GPS)(カルフォルニア大学サンディエゴ校のグローバル政策・戦略学部)を代表する日本経営学の権威的研究者から直接講義を受けられる機会を持ちました。
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ちなみにシェーデ先生はアニメの話をしたり、フレンドリーで威圧的なところが全くありません。

私が皆さんに最もお伝えしたいことは、シン日本の可能性に自信を持ちましょうということです。

失われた30年という悲観論を退け、実はグローバル市場で極めて強力なポジションへと日本が静かに方向転換を遂げてきたことに気づく時なのです。

マイナス思考のスパイラルから脱却

日本経済に対するネガティブな評価を耳にすることは少なくありません。シェーデ教授はマイナス思考のスパイラル(悲観バイアス)によって、日本人が本来の強みや自信をすっかり見失っていることを問題視しています。実際のデータに目を向ければ日本は決してダメになっておらず、過度な悲観論は単なる思い込みであると強調しています。

日本の企業はよく、「意思決定が遅い」「変化が遅い」と言われます。

もちろん、ビジョンがなく決められない、動けないという「無能な遅さ」は問題です。シェーデ先生が示した「遅さ」は、私がイメージしていたものとは少し違いました。

簡単には真似できない暗黙知を組織に残す。
そして、変化の激しい時代にも耐えられるレジリエンスをつくる。

日本企業による「戦略的な遅さ」についてシェーデ教授は以下の分析をしています。アメリカが、ショックの後にいかに早く元の状態へ戻るかという「回復力」を重視するのに対し、日本はショックに耐えられる仕組みやガードレールをあらかじめつくる「耐久力」を重視している文化である。

日本で目指せシリコンバレーの空気が漂っていることにモヤモヤしているのは私だけでしょうか。

私自身もどこかで、「速い=イノベーション」「大きくスケールする=成功」と思っていたのです。
(憧れのシリコンバレー、いつかなりたいデカコーン、はやく会いたいユニコーン…思いますよねw)

目指せ舞の海⁉️

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シェーデ先生が提唱される『舞の海戦略』とは、巨大な規模やパワーで勝る相手に対し、小柄な力士・舞の海のように、知恵、機敏さ、高度な技術、ニッチ分野で対抗し、川上工程においても優位を築く経営・生存戦略のことです。 今の力士なら宇良や翠富士、小兵よりの藤の川といったところでしょうか。

■JTCからJNCへ方向転換!

Japanese Traditional Companyから
Japanese New Company(日本シン企業)へ

古い日本企業をすべて否定して、スピードを出して新しいものに置き換えるという話ではありません。長い時間をかけて蓄積してきた技術、品質、人材、顧客との信頼。それらを活かしながら変えるべきものを変えていく。

世界中のサプライチェーンには、半導体製造装置、高機能素材、精密部品など、表からは見えなくても、日本企業の技術がなければ成り立たない領域がたくさんあることを再認識させられ今では景色が違ってみえます。企業価値も株価も更新し続ける、ニッポン入ってる(Japan Inside)に関する話はまた次の機会に…

優しい資本主義とは

IMG_20261004_091119.jpg 225.78 KB優しい資本主義
世界が見落としている日本企業の底力
ウリケ・シェーデ 著 / 渡部 典子 訳
ISBN:9784022953919
定価:1045円(税込)
発売日:2026年10月13日
新書判並製     240ページ     新書1078

新刊になります。皆で読みましょう😚

知の巨人の肩に乗るための最短ルート

今はYouTubeやウェブメディアなどでも、シェーデ先生の考え方に無料で触れることができます。それでも、私は本を買って読むことには意味があると思っています。ネットにある無料の発信は、どうしても一つひとつの「情報のカケラ」になりがちです。

一冊の本には、著者が長年積み上げてきた研究や思考が、ひとつの流れとして編集され、体系化されています。自分で情報を探し、つなぎ合わせる代わりに、専門家が整理した知の羅針盤を手に入れる、いわば『知の巨人の肩に乗るための最短ルート』が書籍なのです。

既に多くのビジネスリーダーに読まれている2冊はこちらです。

『再興 THE KAISHA 日本のビジネス・リインベンション』(原題:The Business Reinvention of Japan)
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『シン・日本の経営    悲観バイアスを排す』
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そして今回は、著作を読んだ上で、著者ご本人から直接学ぶことができました。本で得た知識が、目の前の講義によって立体的になっていく。とても贅沢な学びでした。

興味を持っていただけたら、ぜひ入門書として『シン・日本の経営』を読んでみてくださいね!

シェーデ先生、未来に役立つ講義をありがとうございました。Herzlichen Dank, Professor Schaede.