世界がいま熱狂する『オデュッセイア』を、三千年の神話から味わい尽くす三夜へ。——第2夜・世界の神話へのお誘い

藤野英人(フッシー)です。正直に告白します。私はこの企画を、2年前からずっと温めてきました。それが、ようやく8月24日に幕を開けます。胸が高鳴って、仕方がありません。

きっかけは、クリストファー・ノーラン。私がこの世でいちばん敬愛する映画監督です。その彼が、よりによって『オデュッセイア』を——人類でもっとも古い物語のひとつを——最新の技術で映画にする。発表を聞いたその日から、私は公開の日を、指折り数えてきました。そして、沖田瑞穂先生(神話学の大家の方ですが)にもこっそり伝えたんです。「今から準備して、オデュッセイアの本を準備すると良いですよ」

そして、蓋を開けてみれば——世界興収はすでに10億ドル(約1,500億円)を突破。あの『ダークナイト ライジング』や『オッペンハイマー』をも超えて、ノーラン監督にとってキャリア史上最高の大ヒットとなりました。 日本での公開は、9月11日。まちがいなく、この作品は彼の代表作として、これから長く語り継がれていくはずです。

考えてみてください。三千年前に生まれた物語が、いまこの瞬間、いちばん新しいスクリーンで、世界じゅうを熱狂させている。古いものと新しいものは、対立などしていない。むしろ、最も古い物語こそ、最も新しい器に注がれたとき、いちばん遠くまで流れていく。これは、私たちの会の名前——FLOW、流れ——そのものの証明のように、私には思えるのです。

では、なぜ神話は三千年も古びないのか。それはきっと、物語の底に、人間の変わらない何かが横たわっているからです。オデュッセウスの十年の航海は、甘い誘惑と、途方もない忍耐と、いくつもの遠回りと、それでも「帰りたい」という一つの願いでできている。——これは、そのまま、私たちの人生の形ではないでしょうか。

そして投資家として言えば、この物語は、恐ろしいほど「投資の話」でもあります。セイレーンの歌に、耳を塞ぐこと。自らを帆柱に縛りつけてでも、目先の甘い声から己を守ること。遠回りを恐れず、時間を味方につけること。——ホメロスが描いたオデュッセウスは、はるか昔に、賢い投資家がいまなおすべきことを、すでにやってのけていた。私はこの符合に、静かに震えました。

そして、ここからが肝心です。世界が熱狂するこの映画を、ただ観るだけで終わらせたくない。 その背景にある三千年の神話を、一流の神話学者に手ほどきを受けてから、スクリーンに向かう——そんな贅沢な体験は、そうそうできるものではありません。そして、それができるのが、FLOWフッシーの会なのです。

案内役は、この会のヘンジン(会員)でもある神話学者・沖田瑞穂さん。ご専門は比較神話学——ひとつの物語を、世界じゅうの神話とつなげて眺める、稀有な視点の持ち主です。沖田さんはこの秋、兄弟子の松村先生と『「オデュッセイア」入門』(河出新書)を世に送り出されます。沖田さんの手にかかると、オデュッセウスの航海は、もうギリシャだけのものではありません。日本の、インドの、世界じゅうの神話へと、扉が次々に開いていきます。

【三夜の大航海・全体像】
・第一夜|ブッククラブ(8/24・オンライン・どなたでも)… 沖田さんの新刊を、みんなで読み解く。まず、神話の入り口に立つ夜。

第二夜|神話学講座… 一冊の扉から、世界の神話の森の奥へ。物語の底に眠る「人間の普遍」を掘り当てる夜。

・第三夜|映画をめぐる鼎談(10月予定・リアル&オンライン/ネタバレ全開)… 沖田さん、映像の作り手・石井朋彦さん(宮崎駿・押井守らと歩んだプロデューサー)、そして私。スクリーンで観た『オデュッセイア』を、結末まで遠慮なく語り尽くす夜。

知って、観て、語る。 事前に三千年の神話を学び、9月11日公開の映画を全身で浴び、観たあとに仲間と語り合う。この三段構えこそ、FLOWフッシーの会にしかできない、贅沢な「複合的な遊び(学び)」です。ひとつの映画を、これほど深く、長く味わえる機会は、そうそうありません。

【第二夜・ブッククラブのご案内】
📅 2026年10月1日(木)21:00〜22:30

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前回、ホメロスのオデュッセイアについて学びました。今回は広く、世界の神話について学ぼうと思います。語り手はFLOWフッシーの会のヘンジンさんでもある沖田瑞穂先生です。

この本は岩波ジュニア新書ということで子供向けのように思われますが、むしろおとなが読むべきしっかりした内容になっています。神話の世界は非常に奥深く、世界中に様々な神話があります。その神話の奥深い世界を比較的小さな本で書かれており、「知らないがカッコいい」の精神からもとても読む価値があります。

この本をベースに沖田先生が「世界の神話」について語ってくれます。

本はこちら

フッシーが聞き手で沖田さんが語るような形式を考えています。

ちなみにオデュッセイアは9/11にロードショウがスタートです。
第3夜はネタバレ有りの、オデュッセイアを語る会になります。「神話学者が実際にオデュッセイアの映画を見たら」というこの会ならではのユニークな企画も行う予定です。