父親とともに働くことを目標に、税理士資格を取得し東京の大手税理士法人で働いていた栗須英治は、父親の死をきっかけに働く意義を見失っていた。ある年の正月、偶然旧友と再会し、その叔父である馬主・山王耕造と出会ってひょんなことからその競馬部門を司るマネージャーとして働くこととなる。

サラブレッドは何よりも血統が重視される生き物であり、勝ち負けによって運命が分かれる残酷な面を持ち合わせる。ほとんどの馬が敗者となる中で、ごく一部の馬だけが勝ち星を重ねてGIのような大レースを制する名馬と呼ばれる。馬主はこの名馬を得るために何千万何億もの資金を投入しながらロマンを追い、競馬界はその欲望と栄誉によって成り立っている。

個人的には過去に競馬にハマっていたこともあり、また友人に馬主の縁者がいたために馬主席に出入りしたこともあった。英国の優雅な雰囲気に比べて、それぞれが牽制し合いつつ水商売風の女性を連れた品のない中年男性が多かった印象は、当時の自分の記憶とも符合する。昔ながらの貴族が集まる英国に比べ、一代で財をなした色物たちが集まった世界というのが90〜00年代の実情だろう。

時代を経て、その血脈は受け継がれていく。現実社会でも日本競馬のレベルアップは目を瞠るほどであり、ついに米国のブリーダーズカップクラシックを制するまでになった。世界をリードする立場となった日本競馬界にとって、馬たちと馬主たちの数だけそれぞれドラマがあるのだろう。その積み重ねが今日まで続いているのだ。

ドラマ原作。もちろん映像化に際しては、脚色や原作とは異なったエピソードが加えられているわけであるが、登場人物たちがすんなりと可視化できるのは利点であろう。