福島県国見町で起こった、企業版ふるさと納税を使った寄付金の還付スキームを暴いた河北新報記者によるまとめ的内容。ただ自治体を食い物にする悪徳コンサルといった勧善懲悪のみならず、地方創生政策全体をみた構造的課題についても言及されている。

個人的には少なからず見知った分野でもあり、また聞いたことのある企業や登場人物たちが出てくるので臨場感を持って読み進めた。とくに地方自治体のリソースが限られる中で、マイナンバー対応やコロナ対策、インバウンド需要といった国からの業務負担が矢継ぎ早に発生し、地方創生という半ば義務的にやらされる感の施策をコンサルに丸投げしたいという誘惑は、小さい自治体ほど抗えないだろう。

一方でこのやり方のすべてがマズかったかといえば、現状の民間企業が自治体業務に携わる上でのプロセスの煩雑さが目の前に横たわる。公平性の原理によって仕様書を出して競争入札とするような従来のやり方が参入障壁となり、ワンテーブルのような悪用を画策する企業が跋扈する隙ができている。結果として、何か革新的なことをするイノベーションが生じない構造となり、ノウハウを持つ自治体コンサルがコピペで提案するような事業が大半となっている。

実際に逆プロポのような仕組みで、企業版ふるさと納税を使って実証実験できる自治体を探す企業も出てきている。どこまでが寄付金でどこまでが利益誘導なのか、線引が難しいお金の流れの中で、過疎と呼ばれる地域はどのように生き残っていくのか。ただ悪徳コンサルけしからん!と正義を発露するだけでは、構造的課題は解決しないだろう。