新刊「すべては距離感である (写真が教えてくれた人生の秘密) 」を読了!
本書を一言でまとめると「写真を起点に、世の中の見方を考える」という内容。こういうテーマの文章をじっくり読むのは、おそらく大学受験のときの「現代文」の授業以来かもしれません(笑)
著者は、「千と千尋の神隠し」や「君たちはどう生きるか」など、多数のアニメや映画に関わられた石井朋彦さん。
「体系立てて論じた思想書」というよりは、「写真」をテーマに、そのとき感じたことや考えたことを「思考メモ」のように書き留めた記録、に近いです。
「写真を起点にした、世の中の見方を考え続けるための思考ログ集」と言っても良いでしょう。
そのため、
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・体系化されていない
・繰り返しが多い
・明確な結論やノウハウを求めるとズレる
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という印象を受ける人も多いはず。
一方で、読むことで得られるのは、体系化された答えや知識ではなく、
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・著者の世界の見え方を一時的に借りる体験
・自分自身の「距離感」を点検するための視点
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だと感じました。
距離感というテーマを軸にした「思考のログ集」あるいは「思考態度のスケッチ集」という感じなので、読者には「著者との対話」が求められます。
正直な話・・・。
読み進めながら「これは自分の得意分野じゃないかもしれないな」と何度も感じました。ただ、それは「つまらない」という意味ではなくて、「自分の思考の慣れた回路から外れている」という感覚に近いです。
なぜかというと、
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・理解はできる。
・ただし、必ずしも腹落ちしないところがある。
・常に、自分の意見や考えが問われる。
・でも、答え合わせができるわけではない。
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という性質があるからです。
例えるなら、「サイズの合わない靴で、初めての道を長時間歩く」という感覚に近くて、「歩けるけれど、ずっとどこかに力が入っている」という感じも。
(わかりにくいですかね・・・:汗)
普段まったく使わない脳の領域を、確実に使っていた感覚もあって、ズシリとくる脳の疲労感は、ある意味では新鮮でした。
もしかするとこの本は、「すんなり理解されるための本」ではなくて・・・。読み進めながら、「本書のテーマとの距離感」を行き来しつつ、思考や感情と格闘することを促す構造なのかもしれない、とも思いました。
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・自分と本との距離
・理解と違和感の距離
・共感と拒否の距離
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そうした「距離感」を往復しながら読む。
もしそれが「この本の読み方」なのだとしたら、自分は、わりと真っ向から格闘した読者だったのではないかという自負があります(笑)
題名は「距離感」ですが、どちらかというと「写真が大好き」「写真を学びたい」「普段は使わない脳の部位に刺激を与えたい」という人にオススメしたい作品です。
折をみて、二度、三度と再読してみたい。
そんな余韻のある本だと言えるでしょう。

2025/12/27 23:56
