日本史上最も偉大なNo.2・豊臣秀長。その生涯は意外なほどに謎に包まれており、とくに前半生は兄秀吉と実の兄弟なのか?というほどに接点が少ない。恐らくは生まれ故郷の尾張中村で百姓をしていたのだろうが、いつの間にか兄の補佐役として仕え、その立場は天下人となった際にも変わることはなかった。
豊臣秀吉が木下藤吉郎として、織田信長配下の中で出世街道を駆け上った時代を描いた上巻は、桶狭間の戦いを経て藤吉郎が組頭という士分に上がったところから始まる。織田家中においては、戦での槍働きよりも情報収集や調略といった戦略的活動こそが評価され、木下藤吉郎が滝川一益とともにその最重要な役割を担った。とくに美濃攻めという京へと上る道の攻略は織田信長の宿願であり、そこでの報奨が木下藤吉郎を一軍団長にまでのし上げていった。
主君信長への付け届けや各地への情報収集に忙しい藤吉郎に対して、家中をとりまとめ争い事などトラブルを防いでいったのが弟・小一郎である。軍団が大きくなるにしたがって、その内部での利害対立や他の家臣からの妬みといった心情的厄介事も増えていくが、兄・藤吉郎を出世の道に専念させるためにそれらを無風のように平らげていった小一郎の働きぶりはまさに二人三脚といった印象である。
2026年には大河ドラマ『豊臣兄弟』が放送される。天下人の弟として、豊臣秀長が主役で描かれる見込みである。ある意味、兄よりも現代人にとって親しみやすく参照すべき点の多い補佐役の仕事ぶりがどのように描かれるか、期待しよう。

2025/11/19 12:40
