日本を超える超格差社会となっている韓国、大都市ソウルではチョッパンと呼ばれる二畳程度の風呂トイレ共同の貧困層向け住居に約5000人が暮らしていると言われる。韓国全土では約40万世帯が非住宅に居住していると考えられ、その多くがバラックのようなこの大都市の隙間に身を寄せ合って暮らしているのだ。
著者は韓国日報という新聞社の若手記者で、このチョッパンの現場に足繁く通うとともにその所有者が誰なのかをインタビューや登記情報から根気強く割り出していった。そしてこの“貧困ビジネス”の実情が明らかになっていく。チョッパンの建物を所有しているのは、江南や漢南洞といった高級住宅地に住まう富裕層であり、チョッパンには管理人として毎月の家賃や建物管理を行なう代理人を住まわせている。
チョッパンは一坪当りの家賃が20万ウォンに達し、一般的なソウルのマンション家賃の約4倍にもなっている。建物全体では数千万ウォンもの家賃収入が、現金で租税対象とならずにこの富裕層の懐に直接入る仕組みになっている。そしてこの富裕層の貧困ビジネスは血縁や子孫に相続され、都市開発や大規模公共事業などの情報を伴って既得権益化している。
もともとは2007−2009年通貨危機から始まったこの搾取構造は、現在も継続・拡大し続けその格差は世代間に引き継がれている。たとえソウルの大学に進学したとしても、半地下ワンルームに居住して就職もままならずに貧困層に転落していく若者たちも多い。そしていったんこの搾取構造に取り込まれてしまえば、抜け出すことは困難であるのはこのルポルタージュに記されている通りである。


2025/12/09 11:23
